「楽しむ」それが豊かなエンジニアになるコツ 坂井恵さん [okyuu.com]

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「楽しむ」それが豊かなエンジニアになるコツ 坂井恵さんのエンジニアライフ(1/2)

日本MySQLユーザ会の副代表を務める坂井恵さん。技術の現場で会社運営に興味を持ち、独立起業の道を選んだエンジニアだ。「ギークっていうほどの技術好きじゃなくて甘いところがある」と笑うが、何事も「楽しむ」姿勢が同氏のエンジニアライフを豊かにしている。
この企画はokyuu.com編集部が現在のエンジニア像をリレー形式で追っていくものです。 (取材・文=編集部)

坂井恵(さかいけい)
1971年3月10日生 38歳 アートライ代表取締役 日本MySQLユーザ会(MyNA)副代表
【略歴】
1993年3月 筑波大学第一学群自然学類(化学専攻)卒業
1994年3月 筑波大学理工学研究科中途退学
1998年2月 有限会社アートライ設立
2002年8月 XOOPSに出会いオープンソースの世界へ
2003年 日本MySQLユーザ会スタッフに
主な著書:『XOOPS入門』『MySQL徹底入門第2版』など 2009年12月には『Firebird徹底入門』予定

アートライ 坂井恵さん

アートライ
坂井恵さん

――初めてコンピュータに触れたのはいつ頃でしたか?

坂井 私たちの世代は皆さんそうなのかもしれませんが、小学生のときに父が買い与えてくれた「PC-6001」が最初です。最初の日のことは今でも覚えています。ちょうど日曜日だったんですが、一緒に買いに行くはずの自分が熱を出してしまって、父が一人で本体とディスプレイ、テープレコーダの3つを両手いっぱいに抱え込んで帰ってきました。父もよほど欲しかったんでしょうね。

雑誌を買ってはプログラムを打ち込んで、ちょっと改造してみては楽しんで、そんなことばかりしていました。同じ世代のもっとすごい人たちはアセンブラでオリジナルなプログラムを書いたりしていたのかもしれませんが、自分はオーソドックスでユーザープラスアルファといった感じでした。あの頃のパソコンというのは使う側と作る人が分かれていなくて、持っている人は自分でプログラムを打ち込みながら使うという時代でしたよね。

 そんなふうにコンピュータに触れてからというもの、生活の中に日常的にコンピュータがあって空気のような存在になっていました。

――ITエンジニアになるのも自然だったんですね。

坂井 強く意識していたわけではなかったのですが、大学で専攻していた化学よりもコンピュータの方が自分に合っていて自然でした。コンピュータというのは自分が思っていた通りに動かすことができる。それが化学よりも面白くて、結局はコンピュータに戻ってしまいました。小さなITの会社に就職して、その後2、3社転々としながら、Webをやったり、HP(Hewlett-Packard)のコンピュータを運用したりしました。

――そして、独立された。

坂井 もともと小さい会社を選んだのも「将来、自分は会社を作るんだ」という漠然な思いがあったからで、社長が何をやっているか見える会社に進みたかったんです。大企業に行ってしまうと、自分がやっている仕事が何のためなのかよく分からないこともあると思いますが、そういう仕事はしたくなかった。

――独立の準備を兼ねた修行ということですね。

坂井 かっこよく言うとね(笑)。当時はそこまで明確に考えてなかったのですが、結果的にはいろいろな経験をできる会社を選んでよかったと思います。

 独立しようと思った理由にはもう1つあって、大規模な受託開発をやっていたときに、「業務」に興味を持ちました。クライアントの業務システムを作るのだから、自分が隅々までちゃんと業務を知っておきたいと考えるようになったわけです。おかしな言い方かもしれませんが、業務を知るためにまずは“会社ごっこ”をしてみたいという気持ちもあったんです。

独立するなら覚悟も必要

――独立する前とした後で、エンジニアの働き方として違うところはどんなところですか?

坂井 自分で会社をやると、事務作業が多くなることですね。自分は技術だけじゃなくて、いろいろなことをやってみたいという好奇心があったから、会社運営のために必要な事務作業も楽しめた。でも、本当に技術だけを極めたい人には、そういう時間が無駄になってしまう可能性があります。

 事務作業をくだらないとか雑用だと思ってしまうような人だと、独立してもつらいかもしれません。自分はギークっていうほどの技術好きじゃなくて甘いところもあるから、こっちの道を選んだというところもありますが(笑)

――エンジニア以外の時間というのは、当初の想定よりも多かったという感じですか?

坂井 自分の場合は、思い描いていたのとギャップはありませんでした。言い方を変えるなら、覚悟していたわけです。会社勤めなら最低限、指示されたことをこなしていればよいわけですが、それにプラスしてやらなきゃいけないことがあるのは分かっていましたから。

――エンジニアリングに割ける時間と会社経営の時間というのは、どれくらいの比率になるんですか?

坂井 経営というのがどこまでの範囲かによりますが、今後の会社の方向性を考えている時間まで含むとなると、始終そればかりと言ってもいいかもしれません。

 伝票処理など細かな事務にはそれほど時間はかかっていなくて、忙しい決算期でも何日か数時間睡眠を削ればいい程度です。しかし、どんなに眠くても明日までにやらなきゃいけないというたぐいの作業もあります。でも、そういうことも楽しめれば少しぐらい睡眠時間を削っても大丈夫でしょ。

 こういった会社に必要な作業を楽しむ感覚があれば、独立して技術を売りにしながら会社がどうまわっているか知ることができるし、お金の流れも分かるようになる。人生にも生きてくると思います。「技術一本で独立を」と志すなら、そういう時間を楽しめるかをまず考えておくとよいですね。

――“会社ごっこ”で始めた気持ちもあったとのことですが、“ごっこ”という感覚は今でも変わっていないですか?

坂井 いやいや、独立して12年ですから、さすがに“ごっこ”でやれることはやり尽くしました。これからは会社の運営よりも経営のところをもっとまじめにやりたいと思っています。

 例えば、独立したての頃は決算時になると、数字が合わないと何時間も計算を繰り返していたんですが、金銭的な余裕も生まれてきて今では会計士にお願いしています。仕事に関しても、できるだけ人を育てて生かすことを考えたいと思っています。そのほうが、1人でやるより大きなことができますしね。

 そういう意味では最初の頃の、全部自分でするんだ、との意気込みとはずれてきたかもしれません。

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